それに伴い、「今日も眠れないのではないか」という不安によりますます悪循環に陥ってしまいます。
不眠症には以下の4つのタイプがあり、そのうち複数が重複して現れる場合もあります。
- ①
- 入眠障害
ベッドに入ってもなかなか寝付けず、30分以上かかっても眠れません。
そのような日が数日や数週間続く場合は入眠障害の可能性があります。 - ②
- 中途覚醒
誰でも朝まで一度も起きずに眠り続けられるわけではありませんが、一晩に何度も目が覚め、 その後何時間も眠れない状態が数日間続くようなら中途覚醒の可能性があります。 - ③
- 早朝覚醒
起きたい時刻よりも随分早く目が覚めてしまう症状です。
年をとると体内時計のリズムが前にずれやすくなり、早朝覚醒をおこしがちです。加齢によるものであれば 特に治療の必要もありませんが、うつ病の方が早朝覚醒になっている場合もあり、注意が必要です。 - ④
- 熟眠障害
睡眠時間は十分とっているのに、ぐっすり寝た感じがしない状態です。
睡眠時無呼吸症候群やむずむず足症候群などの病気が関係していることもあります。それらの問題は眠っている間に起きているため、本人は気がつきにくいので注意が必要です。
不眠症(睡眠障害)の治療には、生活指導と薬物治療があります。まず生活指導ですが、質のよい眠りを導く7つの原則を紹介します。
- 1
- 快適な睡眠でいきいき健康生活
定期的な運動や規則正しく栄養バランスがとれた食生活を続けましょう。 - 2
- 睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが良好な睡眠のバロメーター
睡眠時間や睡眠パターンには個人差があります。時間より質を考えましょう。 - 3
- 快適な睡眠は、自ら創り出す
夕食後のカフェインや就寝前のアルコールは、快眠の妨げになります。寝具や
寝室の温度、静けさ、遮光などにも配慮しましょう。 - 4
- 寝る前に自分なりのリラックス法を
軽い読書、音楽、香り、ストレッチなど、自分に合ったリラックス方法をとりいれましょう。 - 5
- 目が覚めたら日光をとり入れて、体内時計をスイッチオン
早寝早起きを心がけ、できれば毎日同じ時刻に起床するのが理想的。目覚めたら布団のなかでぐずぐずせず、すぐにカーテンを開けて日光を浴びましょう。 - 6
- 午後の眠気をやりすごす
短い昼寝はリフレッシュに効果的。しかし30分以上の昼寝や、夕方以降に眠ることは避けましょう。夜の快眠の妨げになります。 - 7
- 睡眠障害は、専門家に相談
「眠れないくらいで」と軽視するのは禁物。眠りのトラブルを自覚したら、専門家に相談しましょう。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」より)
さらにここで快眠のためのひと工夫
- ①
- 寝室環境を整える
- ②
- 自分に合った枕を使う
- ③
- 眠気を誘うツボを刺激する
などがあります。
当院では快眠を持続していただくためにこういった視点も含めてアドバイスしていきます。
つぎに薬物治療ですが、睡眠薬や睡眠導入剤を服用します。
最近の睡眠薬は自然な眠気を起こさせ、副作用の少ない安全性の高い薬がたくさんあります。医師の指導を守り、自分にあった効果のある薬を服用することで、正しく豊かな睡眠を取り戻しましょう。
また、症状が改善したと感じても、医師の指示があるまではしばらく服用を続けることが大事です。突然止めてしまいますと逆に不眠がひどくなる場合もあります。かならず相談してください。