強迫性障害(OCD)とは
「何度も手を洗っているのに、きれいになったと思えない」「ありえない事なのに不安が頭にこびりついて離れない」など、何かに強く不安を感じてしまい、苦しんだり、何度もその不安を取り除くための行動を繰り返してしまう症状です。
強迫性障害には、主に2つの特徴があります。
- ①強迫観念
- 自分の意志に関係なく、不合理・不適切なイメージや考えが頭に浮かんできて、抑えられなくなってしまいます。
具体的には、
・お手洗いに行ったあとや外出したときに触れたものから、自分が汚れてしまったのではないか、汚れが落ちていないのではないかという「汚れ」に対する不安
・家の戸締まりや火の始末が気になるなど「安全」に対しての不安
・服を着る順番や、特定の数字が気になってその数字に関わるものは全て排除したくなるなど「順序・数字」に対する不安
・何かの拍子に、自分が何かを傷つけたり、誰かに怪我をさせたのではないかと感じる「他傷」に対する不安
等があります。 - ②強迫行動
- ①の強迫観念がもとになり、何度も手を洗わずにはいられなくなったり、外出しようとしても何度も家に戻って確認したり、順番を間違ってしまうと最初からやり直さないと気がすまず、一つのことに長時間をかけてしまうなどして、日常生活に支障が出ます。
また、自分だけでは安心できず、気になるところを何度も掃除させたり、戸締まりを何度も確認させたりするなど、周りの人を巻き込む場合もあります。
強迫性障害は、脳の特定部位に異常があったり、「セロトニン」という神経伝達物質の異常によって起こるといわれています。本人は自分の行為や考えがおかしいと気付いていても、脳の働きにより不安をおさえることができません。また、自分がおかしいことに気付いているため、周りに相談出来ずに一人で抱えている場合もみられます。
治療法は主に薬物治療と精神療法があり、まずは薬によってセロトニンの異常をおさえ、精神療法では医師とともに患者さんみずから不安とどう向き合えばよいのかを探ります。
また、薬で効果がみられても中断する時期を早く見誤ると再び症状が現れることがあるため、医師の判断なく中断しないように気長に取り組みましょう。